架空請求業者の襲来〜第2章〜

業者の「じゃあ、今お前に債権移ったから。」
この言葉で、債権はなぜか私へ移行。
私は慌てた。元々はチキン・ハートな私。
膝がガクガク震えた。


・・・が、よく考えてみろ。最初から債務なんて無いんだから、移ろうが何だろうが知ったこっちゃない。
 私「じゃあ、法に則って手続きして下さって結構です。」
業者「ああ、やるよ!やってやるよ!!本当にいいんだな!?」
 私「はい、そちらが法廷で戦う気があるのなら、どうぞやって下さい。」
業者「じゃあ、お前の名前を聞いておかないとな。」
 私「何で答える必要が?」
業者「いいから答えろ!!裁判の資料になるからよぉ!」


私は何の落ち度も無い。そんなわけで、易々と名前を教えた。
(今思えば、個人情報を自ら漏らしてしまったのだ。今回の戦いの最大のミス。)
業者「あと、いくつよ?」
 私「女性に年齢を聞くんですか!?失礼ですよ、初対面なのに。」
業者「つべこべ言ってねーで答えろやぁっ!!」
 私「26歳です。」
業者「へー。で、身長と体重は?」
 私「そこまで聞かなくても裁判できるでしょう!」
業者「そんなに教えられないほど太ってんのか!?このブタ!!」


私は身長と体重もうっかり教えてしまった。奴の挑発に乗ってしまったのだ。
業者「・・・普通じゃん。」
 私「でもどんなに親しい男友達でも、体重までは聞いてこないですよ?」
業者「で、芸能人だと誰に似てんの?」

・・・は?ここまで聞かれたこと無いぞ。初対面の人間に。
 私「芸能人のように綺麗じゃないですから、特にいませんね。」
業者「でも一度くらい言われたことあるだろ?教えろよっ!!」
 私「・・・で、法廷で似てなかったら笑うんですよね?嫌です。」
業者「笑わねぇよ。自称でいいから言ってみろよ!」
 私「顔だけ・・・デ○ン青木です。知らないでしょうけど、スーパーモデルです。」
業者「すげーじゃん!美人じゃん!!」

はしゃぐ業者。お前、デ○ン青木知ってんのか?
 私「海外のスーパーモデルってのは、日本の雑誌モデルと違って顔は二の次なんですよ。
それに、顔だけですよ?さっき身長と体重を失礼にも聞いたでしょう?で、聞いてどうするんですか?」
業者「行くんだよ、お前んちに。」


何ですと!?うちにいらっしゃるとな!?
やめてよ、チキン・ハートなんだから〜。
 私「本気ですか?でも来たら警察呼びますよ?あなた達の犯罪行為、バレますよ?」
業者「あのなぁ〜、お前はバカかっ!?警察は民事不介入なんだよっ!!」

そういう言葉は知ってるんだ。でも不法侵入って事で来てもらえると思うよ?
あぁ、本当にこいつはバカだ。筋金入りのバカだ。
何かツッコミ入れられないかな?


 私「あ〜そうそう、お宅の電話番号、教えていただけます?裁判になったらこちらも資料が必要ですから・・・」
業者「ぇ・・・・・」ガチャ、プー、プー、プー。


YOU WIN!!
勝ちました!私勝ちました!!
その後、警察に相談。詳細に電話のやり取りを報告。
この手の電話には無視が一番だそうです。
私は今回、自分の個人情報を漏らしてしまったので反省。
実際に家に押しかけてきた場合、警察は呼べば来てくれるそうです。
そしてナイスな豆知識をゲット!
有料(1回30円)ですが、局番なしの「136」にダイヤルすると、直前の着信番号が判るんです。
さっそく試したところ、相手は非通知でした・・・。


その晩、家族と話し合って、ナンバーディスプレイの導入を決めました。
これで非通知等の如何わしい電話とはおさらば!
月々420円で安心が買えるのだから、安いものです。


「家へ押しかける」などと言っていたあの業者、未だに来ていません。
たぶん我が家は諦めて、新たなカモを求め彷徨っているのでしょう。
その労力、他に使えよ。と思う無職26歳。