夜回り先生。

今日、19時からドキュメンタリーをやってました。「夜回り先生」こと、水谷修氏の13年間に及ぶ活動について。


水谷先生は高校教諭として教壇に立つだけでなく、深夜の繁華街をパトロールし、非行に走る中高生に声をかけて回っています。
特に薬物に関する知識が深く、低年齢化する薬物汚染から子供たちを守ろうと尽力なさっています。時には売人であるヤバイ筋の人たちに襲われる事もあったそうです。
夜回り後は自宅でメールチェック。街で出会った危なそうな子供たちに名刺を配っている事もあり、毎日何百通ものメールが来ているようです。救いを求める子供の何と多い事か・・・。内容もヘビーです。「助けて」「死にたい」「リストカットしちゃった」などなど。ちゃんと返信してるんだね〜。マメな人です。
さらに講演活動にも積極的に取り組んでいます。各地の学校を回って、薬物の恐ろしさや教育のあり方についてお話ししております。
講演って言うと短時間で儲かるイメージですが、地方公務員(現在は辞職)である水谷先生にはギャラはありません。交通費すら貰えない事も。
そして凄いのは、電話で相談に乗ってくれるんです。さらに、緊急時には駆けつけます!必要とあらば保護もしてくれます。アフターフォローも万全。ひゃっほー!


これ、全部ボランティア。しかも水谷先生一人でやってきたのです。「いつ寝てるんだよ!?」と思ったら、ここしばらく、まともに寝てないそうです。
というわけで、体も壊しますよ。人間だもの。実はこの方、ガンを患っております。しかも余命幾ばくも無いのだとか・・・。


なぜここまで自分を犠牲に出来るのでしょうか?それは13年前に救ってやれなかったシンナー中毒の少年の死がきっかけでした。講演会では彼の遺骨の無惨さをリアルに語っております。骨までもがシンナーに侵され、箸でそっとつまんでも崩れてしまうほどだったそうです。その他にも、シンナーと覚せい剤の害で壮絶な最期を遂げた少女の事もお話ししてました。身の毛がよだつほど生々しい言葉は、薬物の恐ろしさを如実に現しています。
水谷先生はそんな子供たちを救うべく、時には邪魔者扱いされながらも、まさに身を削っています。


特に興味深かったのは、夜眠れない子供たち。19歳のリストカット(手首を切る事)とOD(=処方薬の過剰摂取)を繰り返す少女が出ていました。私は彼女ほど酷い目にあったわけでもなく自傷やODもしないですが、精神が歪む過程が似ていたのでちょっと共感しちゃいました。幼い頃の残酷な思い出が、現在の心の病に繋がっているんですよね・・・。
この子は生きるために自分を痛めつけてるんです。自殺未遂ではなくて、ガス抜き。大人から見たらただの困ったチャンなのだろうけど、この子には必要な儀式なんですね。それを止めさせるには、長期入院が必要との事でした。いつか自然に生きられると良いね♪


・・・まぁ、いろんな困ったチャンを大人は叱るだけ。「意志が弱い」「ダメ人間」「おまえらクズだ」・・・etc
水谷先生はこう言います。「大人の厳しい言葉で、心優しい子供たちがどんどん闇に追い込まれている」と。
まず「いいんだよ」と声をかける。全てを受け入れた上で、もう一度やり直す。それが彼の方針。
優しい言葉って、傷ついた心には一際しみてきますね。こんな大人が増えれば世の中変わるはず。
そして、水谷先生は今日も夜回りをしています。どうか、お体に気をつけて。